(2)寅さん、教壇に立つ




ネパールに到着して二日目のこと、ネパール、ヒンドゥー教最大の寺院、

パシュパティナートへ向けてローカルバスへ乗り込んだ。

途中二人の青年が乗り込んで来て“日本人か?”と僕に聞く。

“そうだ”と答えると、えらく喜び会話を続けた。

どうやら内一人は、日本語を習い始めたばかりらしく、たった今、授業を終えた所だった。

インドでは、この種の手口でガイド料を請求されたり、物価の分からない僕の代わりに買

い物をしてやると、高額を払わされたりしたことも有ったので、警戒したが、目を見る限

り信用出来そうだった。

そして、それから彼(名前はキラン)と私は友人となった。

私が日本語を教え、キランがネパール語を教えてくれる。一緒に食事を取ったり、キラン

の親戚の住むアパートなどを訪れたりした。

ある日、ふとキランの通う学校を見学したくなり、キランにお願いして見学することにな

った。

約束の日の朝、学校の前でキランを待つが時間を過ぎてもキランが現れない。

仕方なく教室へ行き、“キランの友人だが、見学させてほしい。”と告げると歓迎された。

そして、自己紹介をしているうちに、今度は教えてみたくなって来たので、日本語教師の

バイラジャさんにお願いして教壇に立たせてもらった。

教えるつもりも無かったので、何も考えていなかったが、生徒たちは皆、習い始めて

まだ2週間程度で基本的な会話や日本のゲームだと言ってあみだくじを教えたら、

大盛況だった。

三週間後、インドから帰ったらまた授業をすることを約束した。

次回は、内容を前もって考えておこう。