三年ぶりに再会したスサントは、引き締まった顔に自信に満ちた眼光。 以前とは変わっていた。ツーリストオフィスのここプリー支店を任され、 かなり色々なことがあったのだろうことを感じさせる。 3年と言う長い年月は経っていたが、何の抵抗もなく二人で食事を取ったり、 スサントの家に遊びに行ったり、街に出てお茶をしたりした。 しかし、2日、3日と経つうちにスサントはお金の事ばかり考えている気がしてきた。 列車の切符の手配を任せたが、正規料金の3倍近い料金を請求してきたり、 ドルフィン見学に行った際も、看板に書かれた料金の1.5倍だったりした。 “何故だ?”と聞くと、返答はあるものの、言い訳にしか聞こえない。 そして、“今回はオーナーには内緒だから領収書は切れない。”と言う。 売り上げを着服しているのだ。 あの自信に満ちた眼光は、金儲けの為の鎧だったのかも知れない。 残念だが、信用できなくなると、もう友人と思えなくなる。 列車でプリーを発つとき、“弟が大学を卒業する2年後に彼女と結婚するから、 その時は、式に出席して。“と言われたが、心の中で”ノー“と答えた。 何か失恋でもしたような心境だ。あんなに楽しみにしていた再会がこんな形になってしま うとは。 残念だ。今はプリーを離れたが、まだ気持ちは沈んだまま、元には戻らない。 インド人の中へ入っていくのは、宝でもありそうな穴に手を突っ込んでいくようなもの。 運良く宝を手に出来ればいいが、そこには蛇やサソリがいるかもしれない。 恐る恐る手を入れては、ゆっくりと中を探る。 |